『昔、メガドライブというゲーム機があってな。…いや、はるなが想像している今のゲームとはちょっと違うんじゃが、発売されたときは画期的だったんじゃ。マニア垂涎のモトローラMC68000、もっとも搭載されていたのは日立だか東芝だかの互換68000だったような気がするが。FM音源6和音、驚異の16ビットパワー、そんでもって\21,000- と、当時のゲーム機の価格帯は\14,800- 位からが相場じゃったが、性能を考えればものすごく安かったんじゃ。FM-7に\14,800-出してFM音源3和音のカードを増設していた時期と同時期だったから、そりゃ安いと思えたものじゃ。
おじいちゃんも、そりゃ当然買ったさ。もう、ゲームセンターのゲームがそのまま家で遊べることを夢見ていた、ただの貧乏学生だったからのう…
ましてや主流の任天堂-ファミコン-に対してマニアックで硬派なイメージがあったセガは、マイナー大好きなオタク気味な人たちから絶大な支持を集めていたものじゃ。例えるなら、車はトヨタよりホンダ、バイクはホンダでなくスズキ(もしくはカワサキ)、野球は巨人より阪神(もしくは野球観戦自体が嫌い)、なんて人に好まれておったと思う。少なくとも、おじいちゃんの周りのメガドラ大好きっ子どもは、そんな奴らばっかりじゃった(偏見)
まぁ、おじいちゃんも人のことはいえんがのう…
でな。
メガドラの神髄は、その強引な拡張による延命処置にあってな。制作側もユーザーも独自の気質を共有していたと思えるほどのマニアックぶりが心地よかったものなんじゃ。メガCDと
SUPER32Xという追加ハードを付けるとな、なんと32ビットマシンの超大型ゲーム機としてお茶の間を占拠したのじゃ。ポールポジションはCPUを7つ搭載しているから爆発がリアル、なんて記事を読んで胸を熱くしていたゲーム少年にとって、そのCPUを幾つ積んでいるのか(たぶん5つ? でも実際動いているのは幾つよコレ?)疑問に思えるゴツいボディには無限の夢が詰まっておった。
ただでさえ大きくてジャマなACアダプタを3個も必要とする上に、音声出力はヘッドホン端子から外側をケーブルで取り回してメガCDの音声入力に接続、映像出力も本体から32Xにバイパスした上での出力、おまけに多くのメガドラマニアが使っていたと思われる電波新聞社のXMDシリーズを接続してRGBもしくはS端子で出力、と、まぁ末期のフル装備メガドラは、それはもう壮観なものじゃった。なんてゆうか、最初のガンダムからは想像もつかない末期の醜悪なザク、って感じ。

と、まぁそれはさておき…
当時メガドラの専門誌が二つほどあってな。おじいちゃんも、それはもう愛読していたものじゃ。ついつい魔が差してイラストや文章を投稿しちゃったこともあってな。優子と妖子のダメダメなテーマイラストが載っちゃってたのを発見した折には、本気で恥ずかしくなったものじゃ。ゲームギアの発売日に一人だけ6時間も並んで入手し(他に誰も待ってなかったから「並んで」というより「待って」が正しいかも)、そのあまりの操作性の悪さに改善案を投稿して実名で掲載されたこともあったのう。
幸い知り合いから突っ込まれなかったのが救いではあったが…

はるな…
おまえも、若気の至りには気を付けなさい。
あと、何事も初期型には注意しなくちゃダメだぞ。メガドラの初期型は、それはもうもの凄いバグ誘発機能や自動リセット機能を装備していたものじゃからな。


ゴフン、話がそれたな。
まぁ、それはともかく、
今でも思う。パワードリフトは結局メガドラどころかサターンでも出なかったんじゃのう…と。

…ゴッ…ゴフッ』

「うわーっおじいちゃん!」

『…メガCD発売日に、一緒に惑星ウッドストックを定価で買ってしまった人を7人集めるのじゃ…その者達の子孫こそ、この世を救う真の勇者たち…』(ガクッ)

「おじいちゃーんっ! おじいちゃんしっかりしてーっ!」

#2 俺とメガドライブ
  
-たかがゲーム、されどゲーム-
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